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【インタビュー】「伝える側、作る側になりたいなあと思った。」何が人を " 行動 " させるのか? 前編

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意志を持って行動すること。

 

当たり前のような気がするこの言葉ですが、

「なかなか行動ができない…」と思ってきた人も多いのではないでしょうか。

 

自分を深く見つめ、その解決に向かって行動する。

 

同じように

社会を色んな角度から観て、疑問を持ち、その改善に向かって行動する。

 

そんな人が「意志を持って行動する」人なのかもなあと思わせてくれたのが

今回インタビューさせていただいた矢口教介さんです。

 

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病気による筋力の低下から、5~6センチの範囲で動く手を使ってパソコンを操り、

クライアントの想いを込めたデザインを作り上げ、

「仕事をすると重度障害者への介助を打ち切る」問題について、

市に出向き、自ら突破口をつくろうと行動を起こしています。

 

 

 

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就労中の介助について市に交渉に向かう矢口さん



 

 

そんな矢口さんは

どのようにしてYour choiceと出会ったのか、

どんな想いを持って仕事に取り組んでいるのか、

不安や、しんどさとどう向き合っているのか、

その「行動力」の源をお聞きしました。

 

 

 

「働く」とか「働ける」なんて思っていなかった

 

 

ーーーこんにちは

   まずは日々の生活について教えていただけますか??

 

小学校3年生からずっと病院生活だったのですが、

去年の6月から、介助をお願いしながら自宅での自立生活をしています。

 

24時間365日の介助、つねに人がいる生活です。

いてもらえることによって安心して生活できています。

 

Your choiceの仕事は、

映像編集やフォトショ、イラレを使った案件を中心にしています。

 

在宅でパソコンがあればみんなと仕事できるので

すごく魅力的に感じていますね。

 

 

 

ーーー自立生活をしたいと思ったきっかけというのはありますか??

 

病院にいる間、先生の紹介で

ある会社の動画制作の研修のお仕事をしたことがあったんです。

 

映像編集は趣味でやっていたこともあったので

やってみてもいいかな、くらいの気持ちで受けました。

 

その時に研修先の方が評価してくださって、

次もお願いしたいと言ってくださったんですよね。

 

「働く」とか「働ける」なんて思っていなかったので、

いただいたお給料を初めて見たときに、

「働く」っていいな…と純粋に思ったんです。

 

自立生活ができれば、時間の融通が聞くので、

もしかしたら好きな映像を通して仕事ができるんじゃないかと思いました。

 

 

 

ーーー退院される前から、「働く」ということに意識があったんですね!

 

実際はそんなに甘くなかったんですけどね。笑

 

 

 

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高校1年生 埼玉にきたころ


 

 

「何のために仕事を探しているのかわからなくなりました。」

 

 

ーーー「実際にそんなに甘くはなかった」というのは…?

 

最初はまず、自立生活の環境に慣れるまで大変でした。

設備を整えたり、介助の人に入ってもらったり。

 

日常をこなすのでいっぱいいっぱいでしたね。

 

次の困難は

生活が落ち着いて、いざやっと仕事のことを考えたときに

何が自分にできるかな…と。

 

改めて考えた時に不安だらけだったんですよね。

 

 

 

ーーーしんどかったこと…お聞きしてもいいですか?

 

退院前は映像関係でお仕事がしたいと思っていたんですよね。

でも、探しても探しても働き口は見つかりませんでした。

 

短時間しか働けないことや、

自分に特別なスキルがあるわけでもないし、

どこか企業に働いていたわけでもない。

 

周りから「働けるの?」とか聞かれることもあって、

プレッシャーも感じていましたね。

 

だんだんと

何のために仕事を探しているのかわからなくなりました。

本当に仕事をしたいのかなと自分を疑ったりもして…

 

もうチャンスはないかなと思いました。

 

 

 

ーーーそこから何か変化のきっかけがあったのでしょうか?

 

働き方に関するセミナーに参加するようになりました。

 

 

 

ーーーわ、そのしんどい時に外に出ようと行動したところが

   すごいなあと思います。

 

外と繋がっていたいなという気持ちが強くあったと思います。

 

いろんなセミナーに出ていく中で、

神田であったセミナーのときだったんですけど、

 

実際にテレワークで働いている方たちと会場を繋いで

インタビューなどを見させていただく機会がありました。

 

衝撃を受けたんですよね。

こんな働き方もあるんだ!!って。

 

働き方の多様化を目にしたときに

これだったら自分もできるかも、と思えました。

 

いろんなセミナーに参加するうちに

それまでの考えにも変化が起きました。

 

 

 

 

ーーーどんな変化だったのでしょう??

 

ずっと映像関係の仕事を考えていたのですが、

自分が社会的に何か参加できるなら

何でもやってみたいな!と思うようになっていて。

 

チャンスがあるなら掴みたいと思っていました。

 

 

 

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自宅でお仕事中




 

「伝える側、作る側になりたいなあと思った。」

 

 

ーーーそんなふうに力強く行動できること、

   矢口さんの中に何か要因ってありますか??

 

高校生の時の経験がひとつあるかなと思います。

 

 

 

ーーーどんなエピソードでしょう

 

NLA  NEW LIFE ADVENTUREで、NLAという高校生の団体の

「全国高校生主張大会」というものに参加しました。

 

NLA 公式HP

www.nla.or.jp

 

ディレクターがしっかりついてくれて、全国大会に行くと、

教育ビデオをつくってもらえるっていうものです。

みんなの前で、自分の思いだったり、やりたいことを主張するんです。

 

その大会で運良く全国大会までいくことができて。笑

 

 

 

ーーー運良くって。笑

   どんな主張をされたんですか??

 

病気のこと

障害をもって入院生活をする中での介助の疑問

病気を知った時の心境

親との関係など

 

高校生の自分がその時思っていたことを伝えました。

 


 

  

ーーーその大会で優勝して教育ビデオを制作したのですよね?

 

そうです。

ドキュメンタリー映像を作ってもらったんですよね。

 

3ヶ月くらい撮影がありました。

 

 

 

ーーー3ヶ月も!

 

ほぼ毎日撮影がありましたね。

 

その時は取られている側だったので恥ずかしいなと思ったりとか、

完成はどうなるんだろうと思っていたのですが、

その完成作品にすごく感動しました。

 

だらだらと取っている感じなのに

ディレクターさんがポイントを抑えて、ストーリーを作っていくところに

すごいなと思ったんです。

 

自分を曝け出していく中で、

自分でもわからなかった自分が見えたり、知っていくことがあって、

それを映像として見たときに

客観的に自分のことが見えましたね。

 

親に直接伝えられなかったことも、代わりに伝えてくれた。

映像という形にすることの力がそこにあるなあと思いました。

 

今度は伝える側、作る側になりたいなあと思ったんですよね。

 

 

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「矢口さんのNLA全国大会最終原稿より抜粋」
 
自分の中だけで思っていては始まらない。自分から一歩飛び出して相手に物を伝える。一生懸命伝えれば何かは相手に伝わる。自分から踏み出さなければ何も変わらないたった一言、その切り出して言う一言の言葉から人と人との関わりが深まって行くんだと思っている。この障害は僕の一部として一緒に生きている。これからも一緒に生き続けるかぎり精一杯自分の目線から見えたものを活かし色んな人の支えになりたい。そして、今の病院と言う世界だけでなく色々な世界に飛び込んで行きたい。

 

 

 

 

矢口さんありがとうございました。

 

インタビュー前編はここまでとなります。

この記事を、矢口さんの想いを読んで、

どうしようもない状態から大きくなくてもいい、なにか一歩踏み出せるような。

そんなきっかけになればと願っています。

 

 

後編では矢口さんの想う「働く」についてお聞きしていきました。

ぜひ読んで見てくださいね。